藤間蘭黄  日本舞踊の世界

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リサイタル

リサイタルが来週に迫った。今回上演する『景清』の主人公は、平家の武将として、平安末期の源平の合戦に活躍した実在の人物、藤原景清。『平家物語』巻十一「弓流」に、源氏方の美尾屋十郎(みおのやのじゅうろう)の錣(しころ)(首を守るために兜の鉢の左右や後ろに垂らしている部分)を素手で引きちぎったという「錣(しころ)引(び)き」の逸話が記されている。古くから能や浄瑠璃、歌舞伎をはじめ様々な芸能の題材になっており、伝説やエピソードが数多く創作され、景清が登場するものは総称して「景清物」と呼ばれる。
今回の『景清』は、変化舞踊真っ盛りの文化十年(一八一三年)に『閠茲姿八景(またここにすがたのはっけい)』という八変化の一つとして七世市川團十郎により初演された。平家随一の豪傑、勇猛果敢な景清を、恋人の傾城阿古屋のもとに通う色男として描いている。歌詞には随所に先行の「景清物」で形作られた伝説が取り入れられており、江戸文化の爛熟期といわれる文化文政期ならではの洒落た味わいがある。
「蘭黄の会」10月31日(木)19時開演国立劇場小劇場。全指定席7000円です。是非ご覧ください。R
by rankoh-f | 2013-10-23 08:15 | 一言解説