藤間蘭黄  日本舞踊の世界

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踊りって…

舞踊協会の公演が終わって、あっという間にもう1週間が過ぎてしまった。

「関の扉」とりあえず無事終了。
が、達成感がいま一つなのである。
肉体的には今までで一番楽ではあったし、
充実していたが、
作品全体の流れ、内容、踊り方など、
考えるべき「いろいろなこと」ことが山積しているということが
ようやくわかって来た・・・様な気がするのである。

精神的には、もしかすると一番と言ってよいほど消耗したらしい。

いろいろなこと・・
それは、この演目の内容のこともあり、
また、
「歌舞伎舞踊を日本舞踊家が踊る」という意味、意義についても。

よく、「歌舞伎(舞踊)」は、男性が演じるものだから、
女性がそれを演じる時にはまず男性になり、
その上で、女形、立役の役を演じるべき、ということを耳にする。

「歌舞伎」を中心に据えた理屈からいえば、
確かにそのような気もするし、
理解も得られやすいのだろうと思う。
が、
その論法に依る限り、
「歌舞伎俳優が踊る歌舞伎舞踊」にまさるものはない、
という結論に達する。
これでは、
日本舞踊家の「歌舞伎舞踊」はいつまでたってもまがい物になってしまう。

しかし、そんなことはない。

そこで、「舞踊」を中心にしてみると、
もっと別な理屈が生まれる。
「おどり」で見せる「歌舞伎」的なもの。

日本舞踊家にしかできない「歌舞伎舞踊」の表現は確かにあるし、
そういう踊りを踊り続けていきたい。R
by rankoh-f | 2010-02-27 23:10

関の扉2

2週間ぶりに続きが書けた。
ここからが下の巻である。

小町の後を見送る宗貞のところへ、酔った関兵衛が現れる。
宗貞は、関兵衛が落とした宝印が気になり、関兵衛の懐を探るものの、
関兵衛は寄せ付けず酔って倒れ伏す。
その様子を伺いながら宗貞は奥へ入る。

一人残った関兵衛が尚も飲もうと、持ってきた大杯に酒を満たすと、
そこに星が映る。時刻は寅の一点。明け方4時。
いまここで、樹齢300年余りの桜の古木を伐って護摩を焚き、
世を乱す邪神「斑足太子の塚の神」に祈ると、
クーデターが成就する。と、
大鉞(まさかり)を持ち出し、石で砥ぐ。
切れ味を試そうと、宗貞の琴を斬ると、その下から血染めの片袖が。
それは最前、安貞の片袖を宗貞が隠し置いたもの。
不審に思い拾い上げると、盗み持っていた宝印が関兵衛の懐から桜の木へ飛び去る。
いよいよ怪しいと、桜に斬りかかるが気絶してしまう。

そこへ登場するのが墨染桜(小町桜)の精。

関兵衛が血染めの片袖を手にしたことによって、
彼が夫安貞の敵とわかった墨染桜が、恨みを晴らそうと現れたのだった。

目を覚ました関兵衛に、自分は撞木町(遊郭)から来た墨染という名の遊女で、
「見ぬ恋にあこがれ、雪をも厭わず遥々」やってきた、と言う。
なにかあると思いながらも、わざと騙される関兵衛。
そこで「廓話(くるわばなし)」が始まる。
雪の逢坂山で、いきなり撞木町の遊郭の話を始めるのである。
天蓋を差しかける花魁道中に始まり、
行きつ戻りつする客、
自分の打掛に隠して間夫(まぶ=遊女の恋人)を部屋に引き入れる遊女。
ホッとして酒を飲み、同衾するが、
蒲団が暖かいのを、さっき帰った客か、新しい彼が出来たかと疑い、
痴話喧嘩となる。
帰る、帰さぬのやり取りのうち、

関兵衛が血染めの片袖を落とすと、それを拾って思わず泣き伏す墨染。

不審に思った関兵衛が問いただすと、
墨染は、他の女と取り交わした起請文(恋の誓いの証文)じゃないか、
と、とっさにごまかす。
不審に思いながらも墨染の言葉に乗る関兵衛。
ここから、恋の争いに見立てた墨染の恨み言(クドキ)が始まる。

いよいよ激しく攻め立てられて、関兵衛は、
さっきから、痴話喧嘩にことよせて、自分を恨み、
「その片袖に心を寄せる怪しい女」に、事情を話せ、と問い詰める。
墨染も開き直り、「この片袖は夫の血汐」と言い、
さっき手に入れた宝印も持っているからには、企みがあるだろう、
本名を明かして正体を現せ、と逆に詰め寄る。
こうなったからにはもう隠してはいない、とばかりに、
関兵衛は、自分は「天下を望む大伴黒主」であると、正体を現す。
大鉞を持ち出して、自分を恨むお前は何者だ!と問う黒主。
墨染は自分は人間に見せているが実は、
安貞と契りを交わした桜の精である、と正体を明かし、
夫ばかりか自分の桜まで傷つけようとする恨みを晴らそうと、
桜の枝を取って黒主と戦う。

銀世界の雪景色の中、満開の桜の下で、繰り広げられる
大スペクタクルである。R
by rankoh-f | 2010-02-12 13:06 | 一言解説

関の扉1

2月19日日本舞踊協会の会で、「関の扉(せきのと)」を踊る。

言うまでもないコテコテの「歌舞伎舞踊」。
題名は「積恋雪関扉(つもるこいゆきのせきのと)」。
「○○○実は×××」みたいな人物が大活躍するファンタジー。
蘭黄の役は「関守関兵衛実は大伴黒主」。
相手役は「傾城墨染実は小町桜の精」。

以前このブログで、書きかけていた面白さがここにある。

天下を覆そうとたくらむ謀反人大伴黒主は、
逢坂山の関守に身をやつし(変装して)隠れ住んでいる。

そこへ小町姫がやってくる。
彼女は、宗貞という恋人がいるのに、
皇太子が無理矢理に後宮に入れようとしたため、
その難を逃れてここまでやって来たのである。
そして図らずも恋人の少将宗貞と再会する。
良岑少将宗貞は、先皇遺愛の墨染桜が植えられたここ逢坂山で、
先皇の菩提を弔っていたのだった。

この恋人たちの仲立ちを買って出たのが関守の関兵衛。
宗貞と小町の、馴れ初めの恋話を聞くうち、関兵衛は思わず、
懐の宝印と暗号の割符(木の札に暗号を書き半分に割って持っている)を取り落とす。
目ざとくそれを見つける2人。
小町姫は割符を素早く拾う。
正体がばれることを恐れた関兵衛は、踊りでごまかして奥に入る。

そこへ、白鷹が血染めの片袖を下げて飛来する。
宗貞が、片袖を見ると「二子乗舟」の文字。
これは、昔の中国の漢詩で、弟が兄の身代わりで死ぬという意味。
弟の安貞が兄の宗貞に変って死んだと告げる小町姫。
宗貞は驚きと悲しみのあまり、思わず片袖を落とすと、地面から鶏の声がする。
袖が落ちた石の下が怪しいと掘ってみると一枚の丸鏡が。
三角縁神獣鏡のようなその鏡の模様が、まるで生きているような鶏。
小町姫が、それは大伴家の宝の「八声の名鏡」だと告げ、
先程拾った割符と、自分が、同じ反クーデター派の小野篁から預かり持っている割符を合わせてみる。
「鏡山」という字が浮かぶ。
鏡の埋まっているこの逢坂山のことか?
不審なのはあの関守だ、と2人は示し合わせ、
宗貞は、油断なく見張り、いざというときは狼煙をあげるので、
それを合図に関の四方を囲むよう、
小町姫へ、小野篁への伝言を頼む。
せっかく逢えた恋人同士はまた離ればなれとなっていく。

小町の後を見送る宗貞のところへ、酔った関兵衛が現れる。

ここまでが上の巻。R
by rankoh-f | 2010-02-01 13:10 | 一言解説