藤間蘭黄  日本舞踊の世界

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紫紅会

5月25日、67回目の紫紅会を開催させていただく。
今回は祖母、藤間藤子の十七回忌追善公演。
蘭黄は、序幕に母蘭景と『しのぶ舞袖』、
最終幕の直前に『風の法師』という演目を勤める。

『しのぶ舞袖』は、祖母藤子の母、つまり蘭黄の曾祖母、藤間勘八追善のために作られた曲。
これを今回藤子の追善曲として、故人を偲び母と踊る。R

チラシはこちら
# by rankoh-f | 2014-04-20 10:34 | 日々

はじめての日本舞踊

2月1日に兵庫県立芸術文化センタープロデュース「はじめての日本舞踊」に出演させていただく。
今回は同センターの「はじめての」シリーズの新企画。
日本舞踊を紹介する公演に五耀会のメンバーが出演する。
蘭黄が出演する演目は『大和団子』と『徒用心』。
『大和団子』は夫婦の団子売りが街中で実演販売する様子を描いた江戸の風俗舞踊。
西川箕乃助氏が女房役。
「はじめての」最初の演目である。
今回は特に日本舞踊の身体表現そのものをご覧頂くために、全編素踊り。
つまり、男もちょんまげ姿ではなく、女房も女形の姿をしない。
稽古着同様の着物に袴。
これを江戸時代の夫婦として観ていただく。
身体の使い方のみで男女はおろかその人物の生活感まで表現するのが日本舞踊。
「そのもの」を映像で見せ、しかも時には字幕までつけるメディアとは根本的に異なる。
お客さまの想像力が頼りとなる。R
# by rankoh-f | 2014-01-22 12:48 | 日々

六三郎

あっという間に2014年も2週間が過ぎた。
今年の最初の大舞台は「日本舞踊協会公演」。
昨年『蜘蛛の絲』を上演させていただいた催しである。

今回も夜の部の最後。
2月15日。中日である。

演目は、『三世相~三社祭』。

19世紀半ばに初演された、
全6幕が、常磐津の浄瑠璃で運ばれる通し狂言
『三世相錦繍文章(さんぜそうにしきぶんしょう)』の
最終幕。
主役の六三郎を演じる。

この六三郎、鳶頭の扮装で登場するが、じつは侍。
盗まれたお家の重宝「小倉の色紙」を探している。
恋人の芸者お園が、非道の兄、長庵を殺してしまい、
二人は心中する。
そして、三途の川を渡り、閻魔の庁へやってくる。
そこでは、先に来ていた長庵が色紙を盗んで三社祭の山車に隠した事が暴かれ、
しかもお園とは血縁でないことまで明らかになり、
お園たちは許され極楽へ。
色紙は長庵が持っていることを知った六三郎が、ハッと目を覚ますと、
すべては夢のお告げ。
急いで祭りに駆けつけ、色紙を取り返す、という奇想天外な物語のフィナーレである。

お園を抱える福島屋の主人、清兵衛を、祭りの騒ぎに乗じて襲おうとする長庵から、
六三郎が色紙を取り返し、大団円となる場面。
祭りの賑わいが繰り広げられる。

六三郎は最初、粋な鳶頭で出て、お園との踊りがあり、
後半は、祭りの余興で出るはずの清兵衛の代わりに、赤頭を被って『石橋』を見せる。
『連獅子』や『鏡獅子』と同じ毛振りをする。
演じ甲斐のある役である。R
# by rankoh-f | 2014-01-14 23:19 | 日々

まだまだこれから

10月31日、19回目のリサイタルを終えた。

今回、素踊り2題というものの、
『景清』と『都鳥』という、一見全く違う作品を並べたつもりだった。
ところが、2番を続けて稽古すると、実は非常によく似ているところが多々存在した。

番組構成の時点で、自らハードルを上げていた。

『景清』は平安の武将が江戸の廓に通って阿古屋という傾城と馴染むという筋立て。
前半は源平の合戦を江戸の遊郭になぞらえた「物語」、
後半は、阿古屋と景清の恋話となる。

この恋話が『都鳥』と重なる。

『都鳥』は江戸末期の隅田川点描といった内容。
前半は船遊びの様子や深川の荷揚げ風景などが描かれるが、
後半、吉原の遊女と逢引をする恋人の様子が、『景清』に似ているのである。

片や平家の侍大将と最高位の傾城。
片や市井の船頭と下級遊女。
2組の男女の仕分けとなった。

また、前述の通り『景清』で語られるのは源平の合戦。
屋島の海戦である。船が何度か登場する。
一方『都鳥』は隅田川。これにも川舟が多数描かれる。
海の戦の軍船と川の交通の船の仕分けである。

極めつけは「振付」。
『景清』は曾祖母勘八が伝えた古典。
『都鳥』は祖母藤子が振りを付けた。
『景清』に出てくる古典の振りが、『都鳥』の随所に再構築されて登場する。
『景清』を得意としていた藤子ならではの振付ともいえるが、
並べてみると本当によく似ている。

ただし、同じ振りでも、演じる役が侍か町人か、若者か中年か、男か女かで
踊り方は全く変わる、はずである。
そしてこれが踊り手にとって技量の見せ所となる、はず。

こうしてハードルの高いリサイタルとなった。R
# by rankoh-f | 2013-11-03 09:49 | 日々

景清3

景清は、廓に通う色男。
傘をさして登場するのは、初演の『閏茲姿八景(またここにすがたのはっけい)』という八変化が、「八景」(十世紀に選定された中国瀟湘八景が基となり、ある地域の優れた八つの風景を集めたものをいう。晴嵐、晩鐘、暮雪、夜雨など風景には決まりがある)になぞらえてあり、この『景清』は「滝詣(たきもうで)の夜雨」であるから。また、この傘は『助六』や『雨の五郎』など廓へ通う色男に共通する小道具でもある。
景清は、手練手管の傾城阿古屋に負けじと一杯ひっかけ、赤いところが平家だと(平家は赤旗、源氏は白旗)洒落ながらやってくる。
廓に着いて、馴染みの芸者や幇間にせがまれて、景清に源平合戦の話をする。
江戸の廓で平安の武将が繰り広げる荒唐無稽な「物語(ものがたり=戦の様子を実況中継のように踊る)」。
「〽まず一ノ谷の戦場は 前は海 後ろは険しきひよどりごえ」と言った後、
「〽江戸で申さば品川に似たりよったる色酒に」。
初演当時、品川は東海道第一の宿場遊里として非常に賑わったという。
その「品川」である。
平氏の官女たちをのせた船が海戦に漕ぎ出す様子は
「〽すわや時ぞと漕ぎ連れて 客ある方へとのり出せば」。
敵の源氏を客に見立てて、官女は「舟君」(=船で客を取る遊女)。
ここでは那須与一が扇の的を射ったという源平の合戦の故事もたった一文
「〽かくとみぎわに那須野がひらり」で語られる。
こうなれば主人公景清さえも「立君」(街娼)となって「モンシモンシ」と客(=源氏の勇将三保の谷)の袖ならぬ錣を引く。
このように廓話になぞらえて、勇将景清と三保の谷との二役を演じ分けながら、壇ノ浦の合戦のようすが披露されていく。
そこに恋人の阿古屋が現れる。
「〽心も空の上草履」。恋人がやってきても私のところに顔も出さずに他の部屋で、大声で戯言を言っている。阿古屋の心は上の空で、廊下を歩く上草履を引っかけるのもそこそこに景清がいる部屋の前までやってくる。入りあぐねて、障子を細く開け中へ合図を送ろうとするものの、閉められてしまう。意を決して入ろうとすると逆に障子がさっと開いて景清がやってくる。
ここから阿古屋が恋心を訴える「クドキ」となる。
花見戻りに大勢でやってきた中に「七兵衛」という面白い名前の侍(景清は悪七兵衛景清という通称)が。
阿古屋は朋友の遊女とそれを笑っていたが、いつの間にか「〽心が先へつい惚れて こっちに思えば そっち」も私を口説いて恋人となった。これも観音様の引き合わせ…
こうして心情を訴える阿古屋に対し、
景清は照れ臭いのか、はたまた「〽立たぬ口舌の し残しを」思い出したか、
突然声を張り上げて「そんなことは置いておけ!」。
挙句の果てに「〽どうでもしげさん粋じゃもの」とまで言う。
「しげさん」は歌舞伎『壇浦兜軍記』の阿古屋の琴責めに登場する。
行方不明の景清の居所を阿古屋が知っているに違いないと、源氏方の岩永左衛門が拷問をしようとする。それを畠山重忠が止めて、隠し事をしていれば、音色に狂いが現れるはず、と、琴、胡弓、三味線の三曲を演奏させる場面。その重忠がすなわち「重さん」。
ここで踊り手は、景清→一瞬の阿古屋→景清と目まぐるしく役を変えながら痴話喧嘩を表出させる。
そんな痴話げんかを芸者や幇間が納めて二人を閨へいざなう。
踊り手は幇間から果ては閨の屏風まで演じる。
『景清』はこのように剛柔自在に演じるというところが見せ所である。R
# by rankoh-f | 2013-10-28 00:34