藤間蘭黄  日本舞踊の世界

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関の扉1

2月19日日本舞踊協会の会で、「関の扉(せきのと)」を踊る。

言うまでもないコテコテの「歌舞伎舞踊」。
題名は「積恋雪関扉(つもるこいゆきのせきのと)」。
「○○○実は×××」みたいな人物が大活躍するファンタジー。
蘭黄の役は「関守関兵衛実は大伴黒主」。
相手役は「傾城墨染実は小町桜の精」。

以前このブログで、書きかけていた面白さがここにある。

天下を覆そうとたくらむ謀反人大伴黒主は、
逢坂山の関守に身をやつし(変装して)隠れ住んでいる。

そこへ小町姫がやってくる。
彼女は、宗貞という恋人がいるのに、
皇太子が無理矢理に後宮に入れようとしたため、
その難を逃れてここまでやって来たのである。
そして図らずも恋人の少将宗貞と再会する。
良岑少将宗貞は、先皇遺愛の墨染桜が植えられたここ逢坂山で、
先皇の菩提を弔っていたのだった。

この恋人たちの仲立ちを買って出たのが関守の関兵衛。
宗貞と小町の、馴れ初めの恋話を聞くうち、関兵衛は思わず、
懐の宝印と暗号の割符(木の札に暗号を書き半分に割って持っている)を取り落とす。
目ざとくそれを見つける2人。
小町姫は割符を素早く拾う。
正体がばれることを恐れた関兵衛は、踊りでごまかして奥に入る。

そこへ、白鷹が血染めの片袖を下げて飛来する。
宗貞が、片袖を見ると「二子乗舟」の文字。
これは、昔の中国の漢詩で、弟が兄の身代わりで死ぬという意味。
弟の安貞が兄の宗貞に変って死んだと告げる小町姫。
宗貞は驚きと悲しみのあまり、思わず片袖を落とすと、地面から鶏の声がする。
袖が落ちた石の下が怪しいと掘ってみると一枚の丸鏡が。
三角縁神獣鏡のようなその鏡の模様が、まるで生きているような鶏。
小町姫が、それは大伴家の宝の「八声の名鏡」だと告げ、
先程拾った割符と、自分が、同じ反クーデター派の小野篁から預かり持っている割符を合わせてみる。
「鏡山」という字が浮かぶ。
鏡の埋まっているこの逢坂山のことか?
不審なのはあの関守だ、と2人は示し合わせ、
宗貞は、油断なく見張り、いざというときは狼煙をあげるので、
それを合図に関の四方を囲むよう、
小町姫へ、小野篁への伝言を頼む。
せっかく逢えた恋人同士はまた離ればなれとなっていく。

小町の後を見送る宗貞のところへ、酔った関兵衛が現れる。

ここまでが上の巻。R
by rankoh-f | 2010-02-01 13:10 | 一言解説