藤間蘭黄  日本舞踊の世界

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関の扉2

2週間ぶりに続きが書けた。
ここからが下の巻である。

小町の後を見送る宗貞のところへ、酔った関兵衛が現れる。
宗貞は、関兵衛が落とした宝印が気になり、関兵衛の懐を探るものの、
関兵衛は寄せ付けず酔って倒れ伏す。
その様子を伺いながら宗貞は奥へ入る。

一人残った関兵衛が尚も飲もうと、持ってきた大杯に酒を満たすと、
そこに星が映る。時刻は寅の一点。明け方4時。
いまここで、樹齢300年余りの桜の古木を伐って護摩を焚き、
世を乱す邪神「斑足太子の塚の神」に祈ると、
クーデターが成就する。と、
大鉞(まさかり)を持ち出し、石で砥ぐ。
切れ味を試そうと、宗貞の琴を斬ると、その下から血染めの片袖が。
それは最前、安貞の片袖を宗貞が隠し置いたもの。
不審に思い拾い上げると、盗み持っていた宝印が関兵衛の懐から桜の木へ飛び去る。
いよいよ怪しいと、桜に斬りかかるが気絶してしまう。

そこへ登場するのが墨染桜(小町桜)の精。

関兵衛が血染めの片袖を手にしたことによって、
彼が夫安貞の敵とわかった墨染桜が、恨みを晴らそうと現れたのだった。

目を覚ました関兵衛に、自分は撞木町(遊郭)から来た墨染という名の遊女で、
「見ぬ恋にあこがれ、雪をも厭わず遥々」やってきた、と言う。
なにかあると思いながらも、わざと騙される関兵衛。
そこで「廓話(くるわばなし)」が始まる。
雪の逢坂山で、いきなり撞木町の遊郭の話を始めるのである。
天蓋を差しかける花魁道中に始まり、
行きつ戻りつする客、
自分の打掛に隠して間夫(まぶ=遊女の恋人)を部屋に引き入れる遊女。
ホッとして酒を飲み、同衾するが、
蒲団が暖かいのを、さっき帰った客か、新しい彼が出来たかと疑い、
痴話喧嘩となる。
帰る、帰さぬのやり取りのうち、

関兵衛が血染めの片袖を落とすと、それを拾って思わず泣き伏す墨染。

不審に思った関兵衛が問いただすと、
墨染は、他の女と取り交わした起請文(恋の誓いの証文)じゃないか、
と、とっさにごまかす。
不審に思いながらも墨染の言葉に乗る関兵衛。
ここから、恋の争いに見立てた墨染の恨み言(クドキ)が始まる。

いよいよ激しく攻め立てられて、関兵衛は、
さっきから、痴話喧嘩にことよせて、自分を恨み、
「その片袖に心を寄せる怪しい女」に、事情を話せ、と問い詰める。
墨染も開き直り、「この片袖は夫の血汐」と言い、
さっき手に入れた宝印も持っているからには、企みがあるだろう、
本名を明かして正体を現せ、と逆に詰め寄る。
こうなったからにはもう隠してはいない、とばかりに、
関兵衛は、自分は「天下を望む大伴黒主」であると、正体を現す。
大鉞を持ち出して、自分を恨むお前は何者だ!と問う黒主。
墨染は自分は人間に見せているが実は、
安貞と契りを交わした桜の精である、と正体を明かし、
夫ばかりか自分の桜まで傷つけようとする恨みを晴らそうと、
桜の枝を取って黒主と戦う。

銀世界の雪景色の中、満開の桜の下で、繰り広げられる
大スペクタクルである。R
by rankoh-f | 2010-02-12 13:06 | 一言解説