藤間蘭黄  日本舞踊の世界

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菊慈童

10月24日のリサイタル「蘭黄の会」で、
久々に「菊慈童」を踊る。

これはもともと18世紀に出来た古い作品。
長唄曲のみ残り、振りが途絶えていたものを、
今から約60年前、昭和20年代に祖母藤子が復活した。

物語の背景は、能の「枕慈童」(または「菊慈童」)と同じ。

中国古代の周の時代。
仕えていた穆王(ぼくおう)の枕をまたいでしまい山奥に流罪となった侍童が、
王から賜った枕にある二句の偈(げ)(法華経の句)を菊の葉に書くと、
その葉から滴る露が不老不死の薬となる。
それを飲み、若い姿のまま7百余年の長寿を重ねた様子を描いている。

寵愛を受けた王を懐かしみ、移ろう自然を愛で、
あるいは昔の罪を悔み、
星霜経ても歳を取らない苦しみを味わい、
仙人のような境地となり、長寿を寿ぎ、
庵へと帰っていく。

「700歳の慈童(少年)」。
見た目の「若さ」と、
精神の「老い」と、
そのすべてを超越した「愛」と。
いかに「慈童」になるか。

今回は本衣裳で挑むR
by rankoh-f | 2010-10-03 16:42 | 一言解説