藤間蘭黄  日本舞踊の世界

rankoh.exblog.jp

柱建万歳

27日に迫った「五耀会」
蘭黄は「柱建万歳」に出演する。

江戸時代から明治にかけての正月の風物詩、三河万歳。
これを題材にした作品の代表は、常磐津の『乗合船恵方万歳』。
江戸庶民が大勢描かれるこの『乗合船』の、万歳のくだりを清元に移したものが本作品である。

「柱建」とは、家屋の建築で、初めて柱を立てる祝いの儀式。
万歳が祝辞を述べる際、「一本の柱は…」「二本の柱は…」と
数え歌のように一家の繁栄を述べる。

江戸っ子の太夫が「一本の柱は魚市。江戸に名高き日本橋」と
かつて日本橋にあった魚河岸の自慢をすると、
浪花っ子の才造が「二本の柱は二軒の芝居。浪花に聞こえし道頓堀」と
芝居小屋の賑わいを自慢する。
そして天下祭で名高い山王祭、石舞台の舞楽殿の四天王寺、五町の廓の吉原と、自慢が続く。

蘭黄は昼の部で太夫を、夜の部で才造を演じる。
昼は江戸前、夜は上方風に。
と言っても、「万歳」である。

長閑な正月の雰囲気を馥郁と醸し、
明るく華やかな舞台にせねばならない。

一所懸命、必死になっては決して出せない雰囲気。
力を入れて、それ以上に力を抜く。

「言うは易く行うは難し」というが、
「言うも行うも難し」である。R
by rankoh-f | 2011-05-21 13:08 | 一言解説