藤間蘭黄  日本舞踊の世界

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出雲の春

3月29日「出雲の春音楽祭2015」を無事に終えた。
今回は、この音楽祭の為に編成されたフェスティバルオーケストラの演奏による、ラヴェルの『ボレロ』で、出雲神話「国引き」を日本舞踊化するという試みだった。
出雲国風土記の巻頭を飾る、出雲の成り立ちの神話「国引き」。
地元の舞踊手2人と、藤間恵都子師と共に4人で描いた。

満員の観客席。
チューニングが終り、2人の踊り手が、オーケストラの前に敷かれた所作舞台の端に控えると明かりが入る。指揮棒が動き、やがて静かにタン タタタタンと太鼓の音が始まる。
最初のソロで1人の踊り手が立ち上り、扇子を開きながら中央へ。海を描いていく。
次に2人目の踊り手も同様にさざ波を描く。
やがて大波となり、出雲の海岸線が見えると、そこに立ち上がる雲。
人々は、あるいは舟に乗り、潮を汲み、或いは貝を拾い、漁をする。
古代出雲の民の生活から始まり、そこへオミツヌ、フテミミの2神が現れて神話の世界へと観客を誘う。
オミツヌは、海の向こうに繋げる土地を探しに行く。
女たちは三つ編みの太い縄を綯う。
大きな鋤を使って土地を切り取り、縄をかけて引く。
オミツヌに引かれて土地が集まってくる。

曲の盛り上がりとともに、力強く土地を引くオミツヌと声援を送る女たちの踊りが展開された。
終曲、土地を引き終え杖を立てて「おえ!」と叫ぶオミツヌ。人々の歓喜でカットアウト。
鳴り止まぬ拍手。

「日本舞踊とオーケストラ」第一弾の試みは無事に終わった。
アンコール曲『新撰組』のテーマでも、踊りを披露。客席からはブラボーの声も聞こえて、大いに盛り上がった。
写真はゲネプロの模様。
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by rankoh-f | 2015-04-01 10:21 | 日々