藤間蘭黄  日本舞踊の世界

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ワイン片手に。

早稲田の「鉢かづき」の稽古も佳境になってきた。
お伽草子の日本舞踊化というと、ともすると幼稚っぽいと思われるが、
そこはさすがに坪内逍遥先生。深い文学性と高い芸術性を兼ね備えた作詞で、
二代目家元(藤間勘右衞門)の振付も練られらものである。
つまりは埋もれた名作。
この名作の素晴らしさを堪能しつつ、
それを観客の皆様に伝えなくてはいけなという使命感、
責任感に押しつぶされそうになりながら格闘して居る。

この作品のキーパーソンは太郎冠者と次郎冠者。
二人は、心中しようとした宰相の君と鉢かづきを探しに、松明片手にやってくる。
途中で誤って松明を消してしまい、折から月も雲に隠れ、
闇の中でお互いを山賊と思って逃げ惑う、といったおかしみの振りがついている。
これをいかに面白く見せるかがこの演目の眼目のひとつなのだ。
今回は、この役を、明日の藤間を担う若手が演じる。
彼らはとても真面目で、とてもよく私の言う事を聞いて、頑張ってくれる。
が、この種の面白さはただ「頑張って」出来るものではない(勿論、頑張らなくては出来ようもないが)。
ある意味で、その場の空気を支配する力がなくては、面白く出来ない。
その「力」は踊り手個々の力ばかりではなく、
作詞、作曲、振付など作品全体の力でもあると思う。
さすれば、
作詞、作曲、振付に充分な力のあるこの「鉢かづき」なら、
あと少しの舞踊力で面白くなると思うのだが…

10月10日の本番に向け、とにかく稽古あるのみ!R
by rankoh-f | 2007-09-25 23:56